「福祉」を制度ではなく、暮らしと関係性から考え直す

「福祉とは、制度の話ではない。
暮らしと人との関係性を、どう再設計するかの話だ。」

そんな強いメッセージから始まった、今回の役職員研修。
介護・地域・人口減少社会をめぐる現実と向き合いながら、
私たちがこれから何を問い直すべきかが語られました。

講演は、大きく5つの柱で構成されていました。

① 若者×高齢者の“共生アパート”という実践
誰でも入れる普通の賃貸住宅。
ただし、高齢者が暮らし、月1回のお茶会に参加すれば家賃は半額。
福祉目的ではなく、「おしゃれ」「カフェがあるから」若者が集まる。
日常の雑談の中で、自然な健康相談が生まれていく。
👉 補助金に頼らず、投資としても成立する福祉の形。

② 「高齢化社会」の本当の姿
問題は高齢者が増えることではなく、若者が減り続けること。
人がいなくなれば、施設も制度も維持できない。
「明日も同じ仕事が続く」という前提は、すでに崩れている。

③ マニュアルとリスク管理への問い
介護は“判断し続ける仕事”。
リスクをゼロにすることは、人生そのものを奪うことでもある。
責任を取るために管理者がいる、という覚悟が問われる。

④ 「質の高い介護職」とは誰か
年数や資格ではなく、
その人の人生を理解し、最後まで“その人らしさ”を支えられる人。
目指す人材像を言語化できない組織は、人を育てられない。

⑤ 在宅看取りの実話
余命わずかな認知症・がん末期の方の「最後に温泉へ行きたい」という願い。
スタッフの判断で同行し、数日後、自宅で最期を迎えた。
病院に閉じ込めず、人生を“生き切った”時間。

講演の核心は、とてもシンプルでした。

福祉のトップゴールは、より良い人間関係をつくること。
正論は、関係性がなければ通らない。
「投げる支援」ではなく、最後まで伴走する支援こそが問われている。

福祉の仕事が「意味のある仕事」ではなく、
ただの「労働」になった瞬間、社会は壊れていく。

この問いを、私たちは現場で引き受け続けていきます。  

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